ハボック×ロイ(小さな公園で少し早いお花見)
2007.07.03.Tue.如月さくら
「さむっ・・・・・・」

普段の軍服よりも少々薄着に見える大佐には、
今日の少し肌寒い風は、まだまだ冷たかったのだろう。

大佐と云う地位にいるくせに、
やけに華奢に見えるその身体を震わせ、
風に揺れ、舞い散る花びらを目を細めて追っている。





春の風に





街の中心から少し外れた場所にある小高い丘は、
この時期になると一斉に春色に色付く。

近くに住んでいる人たちの憩いの場所となっているそこは、
軍人が居る事など似合わない、穏やかな時間が流れていた。


「ハボック?」

ひょぃ、と覗き込んでくる顔に、驚いて思考が止まる。

「どうしたんだ、ぼーっとして。」

バカになったか、とけらけらと笑っている目の前の人は、
執務室で見る何時もの顔とは違っていた。

楽しそうで、嬉しそうで。

けれど、どこか・・・

「寒いから、もう戻ろう?」

花よりなんとか、ではないのだろうが、
寒さが得意では無いらしい大佐は、苦笑しながら歩みを速める。

黒髪が風に揺られる。
片手でそれを押さえながら振り返って口を開く。


「ハボック。」

名前を呼ばれ、顔を上げる。


「あまり呆けていると・・・・・・見失ってしまうよ?」

小さく笑って、そのまま先へと歩き出す。

その後ろ姿は、
風に攫われる花びらたちと共に、
俺の傍から離れていってしまいそうで。


「大佐っ・・・」

思わず、腕を伸ばす。

伸ばした腕が掴んだのは、それは確かに、彼の腕。


「慌てなくても、大丈夫だよ。私は、」

引き寄せてみれば、しかし呆れ顔で言われてしまう。

けれど、今腕を離してしまえば二度と戻ってこない気がして。


「・・・はぼ、く・・・・・・?」

思わず、抱きしめてしまっていたらしい。

自分の腕に感じる彼の存在。

そのぬくもりは、確かにその人のものだった。

そんな事はとっくに分かっていたはずなのに、
手にしてみれば、それは随分とあっけのないものだった。


「・・・・・・人が、居るだろう・・・」

離しなさい、と聞こえない程の声で呟く。
寒さの所為か、僅かに震えた指を俺の腕にそえて。

「寒いっしょ・・・風邪、ひいちまいますよ。」

小さく告げ、そのまま更に抱きしめる。

自分勝手なのは分かっていた。
何か理由が無ければ、触れる事もできないくせに。

「・・・ハボック・・・・・・。」


暫くそのままでいれば、
腕の中の貴方は大人しくなって。

俺の体温に安心した様に身体の力を抜く。
呆れた様に、身体を預けて。


「お腹空いた・・・。」

ぽつりと呟かれた言葉に苦笑して、
けれど何でもないその言葉が嬉しくて。

「何、食べましょっか。」


花びらの舞い散るのを見ながら、二人で。

ゆっくり流れる時間は、
二人の間を相変わらず穏やかに流れて・・・。



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This fanfiction is written by SakuraKisaragi.
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