ヒューズ×ロイ(職務中の執務室、ヒューズ→ロイ気味)
2007.07.01.Sun.如月さくら
いつからだったか、お前さんは俺にとって、
気になってしょうがない奴になっていた。
もしかしたら、出会ったあの時から、
もしかすると、出会うずっと前から。
大切な、傍に居てやりたい、存在。
かわらないもの
先程から、東方司令部司令官室で只管書類に向かっている司令官殿。
自分でそこまで溜め込んで、
結局は優秀な副官に睨まれて嫌々ながら手を動かしているような状態らしい。
面倒臭そうに、けれどしっかりと内容には目を通しているのだろう。
時折書類の一部にペンを走らせては文字を追っているようだ。
仕事中だという事は、見れば分かる。
時間も、まだまだ仕事をしているべき時間だ。
「なー、ロイー。」
真面目に、とは言い難いが、
仮にも仕事中オーラを発している親友へ声をかけてみる。
「・・・。」
返事は、無い。
「ロイ〜。」
ペンが、紙の上を走る音。
「ロイロイ〜。」
紙が擦れて音がする。
「ローイちゃーん。」
返事をする気は、無いらしい。
代わりに、少々乱暴に書類が机に放られる。
あーぁ・・・大事な書類だろ、それ。
そうさせている原因が自分だと分かっていながら、
相手のイライラにも苦笑がこぼれる。
「ん?終ったんか。」
客人向けのソファに座って、
既に処理済らしい書類をパラパラと読んでいると、それを取り上げられる。
「これはもう一度提出させる。」
不機嫌な様子で、そう告げる。
一仕事終えれば笑顔が戻る、
とは思っていなかったが、どうやら今日は相当ご機嫌ナナメのようだ。
俺を憮然と睨みすえたまま、書類をテーブルへと放ってしまう。
おいおい、それも大事な書類だろ。
「ロイ。」
名前を呼んで、腕を伸ばす。
不機嫌な表情のまま、
それでも手を重ねて、じっと見つめてくる。
相変わらず、ひんやりとした指先に、苦笑が混じる。
俺の笑顔が気に入らないのだろう、
不機嫌に拍車をかけて、睨まれる。
「・・・少し、疲れた。」
直ぐ横に座って、ぽつりと呟く。
「あぁ、お疲れ様。」
綺麗な黒い髪に指が触れても、するりと滑り落ちる。
「・・・・・・久し振りだ・・・。」
中央と東方とで職場が離れて暫く。
お互い時間など取れずに日々は過ぎていった。
触れているそれは相変わらずで、以前と何も違わない。
「・・・お前さん、ちょっと痩せたな?」
纏っている雰囲気は、相変わらず。
温もりも、変わっていない。
「仕事が多くてね・・・。」
少し煩わしいぐらいに気にかけてやらないと、
食事も睡眠もまともにとらない。
そんなクセも、相変わらずらしい。
ほんの少し離れていただけなのに、
随分と変わってしまったようにすら思える。
「それで、用事は・・・?」
話を聞く気など大して無いはずなのに、
身体の力を抜いたままで顔をこちらへ向けてくる。
「あぁ・・・・・・。」
仕事の話題ならお断りだとでも言いたげな顔と視線がぶつかる。
「そりゃ、お前さんに会いに。」
お決まりの、望まれてもいないのだろう。
そんな風に思いながらも口にする。
俺の言葉を聞いて、冗談はいらん、と表情を緩める。
あぁ・・・、間違ってなんかない。
冗談なんかじゃない。
俺は、お前さんの傍に居たいんだ。
本気でそんな事を口にすれば、睨まれるだろう。
「・・・お前さんは、会いたくなかった?」
「・・・・・・、」
浮かれすぎて仕事の話を思い出したのは、
それから暫く経ってからだった。
ロイの様子はといえば、
不機嫌ながらもそこそこ表情は和らいでいて。
睨まれても、何となく嬉しくなってしまう。
結局、何時からとか、何処でとか、
そんな事はどうでも良くなって。
俺が傍に居たいのも、
俺の傍に居てほしいのも・・・まぁ、そういう事なんだろう。
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