ヒューズ×ロイ(資料室、ヒューズ←ロイ気味)
2007.07.07.Sun.如月さくら
何となく、憂鬱になる。
そんな事は、別に珍しくもなく、ただ変わらず時間が過ぎる。

今日も、昨日もそうだった。
明日も、その先も、きっとそうだろう。

何でもない事で、無性に寂しくなる。

ひとり、

ひとりきりだと、感じる。



おもいだせない



夢の中で、もしかするとただの幻かもしれない、時間で。

お前と会った。

お前に、会えた気がした。


かすかに残る気配に、意味は無く、ぬくもりも、無い。

ひとりきり、気付けば眠ってしまっていたらしい。

ゆっくりと身体を起こせば、
そこが睡眠をとるには少々場違いだと気付く。

本が山積みになっていて、今にも崩れかけそうだ。
利用者もいないのだろう、埃っぽい部屋。

貴重な資料を陽に晒す気は無いのか、窓は無い。
時間は分からないが、必要も無かった。

多分、今はもう夜中で、
この司令部内には夜勤で残る人間だけしか残っていないのだろう。

そのうちの誰かが、この部屋まで見回りにくるとは思えない。


「・・・このまま。」

ここでもう一度眠りにつけば、また会えるのだろうか。

こんな処で眠っていては風邪を引くとでも、言いに来るのだろうか。

くだらない事を考えて、自分でも馬鹿だと思う。

そんなにも簡単に、お前が来てくれるなら、
そんなにも簡単に、迎えに来ると言うなら。

「・・・・・・・・・馬鹿だな・・・。」

自宅へ戻る気力は、無くなっていた。
多分、もうずっと前から、そんな気は無かった。

迎えに来てくれるなら、見つけてくれるなら。

そんな、子供みたいな事ばかり考えてしまう。

「・・・・・・本当、子供みたいだ。」

顔を、声を、体温を。
お前を、ちゃんと思い出したいのに。

どうして、上手くいかないのだろう。



「風邪、引くぞ。」

ばさり、と声と一緒にかけられた上着は、多分私のものではない。

私ではない、誰かの、・・・誰の?

「何してんだ、こんなトコで。もう帰るぞ?」

顔を上げれば、どうやら、見知った顔。声。

「おーい?ロイ、ローイ?」

ぱたぱたと私の目の前で手を振っているのは、お前か。

「ローイちゃーん?」

「・・・、たりない。」

「は?」

聞き取れない、と顔を近づけて何事かと耳を傾ける。
近寄ってきたその身体に、首に、腕を廻してみる。

「おわ・・・おい、ロイ?・・・なぁ、どうしたんだ。」

抱きついて、触れてみれば、知っている感触、体温。

「たりないんだ・・・。」

背中を撫でながら、私の言葉を聞いている。
何が、と質問をされても、答えられない。


「忘れてしまいそうで。」

触れていないと、忘れてしまいそうで。

「思い出せなくて。」

気付けば、消えてしまっていた体温を。

「・・・たりないんだ。」

多分。

お前が、たりないんだ。


「オレも、たりない。」

そう言って、お前は背を撫でていた手に力を込める。
優しく、抱き寄せる。


忘れそうになったら、
思い出せなくなったら、

また、教えてあげるよ。
また、覚えれば良いよ。

何度でも、何度でも、こうしてあげるから。

そんな風に、お前は笑うんだろう。



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This fanfiction is written by SakuraKisaragi.
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