ハボック×ロイ(昼間の執務室、お昼寝話)
2007.08.02.Thu.りん
シエスタ 〜in執務室〜
太陽照りつける午後。
しかし、開いている窓からは少し強めの風が入ってきて、
室内も暑くなりすぎず、頬を撫でていく風が心地いい。
そう、心地いいのだ。ものすごく。
この目の前に山積しているモノがあっても。
その中のどれだけが、今日締のものであるのか分っていても。
この心地よさとともにやってくるものには、逆らえないわけで…。
「………眠。」
ここは、抵抗するだけ無駄ということにして、
この心地よさに身を任せるとしようか。
30分だけ。
それくらいなら、誰も来はしないだろうし。
もうすっかり身体に馴染んでしまった黒革の椅子に、
背をとっぷりと預けて、寝る態勢に入る。
眠りに落ちていくこのまどろみの時間が…一番好きだ…。
コンコンっ……
「ハボックです。大佐、入りますよー?」
自分が書き上げた書類のチェックをしてもらうのと、
大佐の終えた書類を引き取りに、執務室まで来たのだけど。
ノックをしても声をかけても、大佐からの返事は一向に返ってこない。
無遠慮かと思いつつも、
大佐にもしものことがあってはいけない
ということで返事のないままだが、扉を開けた。
ギィ…っという木製の扉独特の音とともに開けると
途端に風が身体を吹き抜けていった。
反射的に眼を閉じてしまう。
その眼を再び開けて見えたのは、風で舞い散っている紙と
普段ならたっぷりの威厳と嫌味、
ときどき無能を抱えて座っているはずの彼の人が
穏やかな、あどけない表情で眠っている姿。
「あちゃー。大佐、寝ちまってる。」
苦笑をもらして、
散らばった紙を踏みつけないようにしながら大佐に近づく。
「今来たのが、俺だったから良かったものの…
中尉が来られてたら、鉛玉一発じゃ足りませんよ?」
二人の距離は机一つ分、という距離から
声をかけても起きないということは、どうやら熟睡モードということか。
それとも…来たのが俺だったから、
夢の中で俺の声だと聞き分けてくれたから、起きないのか。
そうだったら、
大佐が俺に心を許してくれているような気がしてすごく嬉しいんだけどな。
なんて、それはちょっと舞い上がりすぎだろうか。
それにしても…
「ホント、キレーな顔…。これでも年上で、さらに上官で…」
オマケに男で恋人というのも、もれなく付いてくるわけで。
うっわ、ちょっと自分で言って恥ずかしくなってきた。
かぶりを振って熱を顔から追い出すと、再び視線は自然と大佐へと戻る。
すやすやと眠っている姿は、本当にあどけなくて。
大切で愛しい気持ちがわきあがってきて、
思わず手を伸ばして、その頬に触れる。
ほんのりと暖かくて、やわらかな感触。
こんな大切な人に触れることを許されているのは、
今、自分だということをとてつもなく幸せに感じる。
この人に触れたい。
以前にも似た状況があって、
同じような衝動に駆られたことがあった。
その時は、
自分の気持ちが思いがけなさ過ぎて驚いてしまったが、
今なら分かる気がする。
もっと近くに居たい、側で感じたい。
尽きない欲求があとからあとから溢れ出して、
自分では止めようがないのだ。
また眠っているところを…だなんて、気が引けるけど。
でも、やっぱり自分じゃ止められない。
身をかがめて、大佐に顔を寄せていく。
二人の距離は、あと数センチ。
「寝込みを襲っても良いだなんて、躾けてはいないはずだが?」
唇が触れる寸前で、
大佐がいきなり瞳を閉じたまま淡々と声を出した。
それに思わず固まってしまう。
大佐は瞳を開けると、
両手で俺の身体を押し戻してにっこりと笑った。
「いやっ…あの大佐…これは、そのーー………」
いつもならそれだけで幸せいっぱいになってしまうその笑顔も、
今見ると何か…怖い。
「それともお前は、寝ている主人を襲うような駄犬だったのか?」
笑顔はそのままで、
机に両肘をつき問いかけてくる大佐。
「うあ……その……勤務中に…すみません……。」
言い逃れできない状況。
しゅん、と項垂れて謝罪を述べる。
俺は顔を上げられなくて、大佐は何も言わなくて。
そのままの状態で、しばらく沈黙が続いた。
すると突然隣から肩をぽんっと叩かれる感じがして、
顔を上げると、いつの間にか大佐が横に立っていた。
「良いか、こういうことはだな―――」
チュ。
「起きている時にしないと、お互いにつまらないだろう?」
そう言うと、大佐はクスクスと笑いながら俺から離れていった。
ちょっと待て、今…何があった?
「ぇ…えと、大佐……今…?」
「ほら、やはり起きている時だと、反応があっていいな。」
相変わらず、
大佐は俺を見つめながらクスクスと笑っていて。
やっぱり、俺…今大佐とキスしたんだよな…?
「おやおや、少尉。
そんな調子では、先が思いやられてしまうよ?」
そう言ってまた、微笑む大佐。
あぁ、その笑顔も綺麗だなー。
なんて、呆けてる場合じゃなくて。
「じゃ、じゃぁ、次からは起きている時にします。」
「あぁ、是非そうしてくれたまえ。」
そう言って、上目で俺を覗きこんでいた大佐は、
大きく頷いた後、俺の耳元まで唇を寄せると
「楽しみに、待っているから。」
「!!!!!!!」
そう囁いて、自分の椅子に戻って行った。
そういう俺は、不甲斐無くも固まったままで。
顔が熱い。きっと耳まで真っ赤になってるんだろう。
あーくそっ、恥ずかしい。
このとびっきり美人で年上の恋人に敵うようになるのは
もう少し先の話……。
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This fanfiction is written by Rin.
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