ハボック×ロイ(深夜の執務室、お付き合い初期)
2007.07.15.Sun.りん
寝てる
大佐が
無防備に
ソファーの上で
kiss or kiss
ロイは最近忙しかった。
否、いつも机の上には書類の山があるのだが。
それにもまして、ここ数週間はその山も
当社比1.5倍で高くなっていた。
なぜなら、彼らのいるイーストシティで
5年に1度とされる 軍主催の盛大なフェスティバルがあるからだ。
表向きにはまぁ、お祭り騒ぎで楽しもうということなのだが
悪くいってしまえば、軍の権力をひけらかす為のただの行事でしかない。
そんなただの行事でも 主催地を守る東方司令部の面々にとっては
ただの厄介事には変わりない。
祭りの際にやってくる 中央のお偉い方のスケジュールの管理
宿泊するホテルや その警護。
……まぁ 仮にも軍人なのだから
自分の身ぐらい自分で守ってほしいところなのだが。
それだけではなくて
それに際して行われるイベントや 出店の管理
お祭り騒ぎに乗じて 不逞な輩が騒ぎを起こさないかなど
挙げだしたらキリがないほど 考え決めなければならないことがある。
一言で言って、面倒なことこの上ない。
現地に出向いて調べ上げたり 必要な書類をまとめるのは
ロイの忠実な部下たちが 汗かきべそかきこなしていくのだが
しかし最終的な決裁は 司令官であるロイに回ってくるので。
どんなにいつも以上に ロイが頑張って仕事をしても
否が応でも 書類の山は高くなっていくばかりだった。
しかし いつまでも書類をため込んでいるわけにもいかない。
開催日は日に日に近づいてくるわけだし。
連日、遅くまでロイは一人で残って
時には仕事を家に持ち帰ってまで 片付けていたのだが
今夜は 自分も手伝うと申し出たハボックと
二人で片づけることとなった。
「大佐ー、後ちょっとっスよ。がんばってください。」
「んーーーーーー。」
時計の短針はすでに頂点から傾いており
連日の疲れがたまったロイは
ハボックの呼びかけにも 生返事を一つ返すだけだ。
「ここの分片付けたら、何かうまいもん買って帰りましょって。」
確かあの居酒屋なら遅くまでやっていたはずだ。
そんな事を考えながら、
書類片手にすでに舟を漕ぎ始めているロイの肩をゆする。
「おーきーてーください。寝るんならウチで寝ましょう、ね?」
「んーー…そんなにゆするな、頭が痛くなる……」
揺さぶられてくらんくらんする頭を押さえて
ロイは夢の淵から帰ってきた。
「…まぁ、あと一頑張りなんスけど……
眠気覚ましも兼ねて、濃いコーヒー淹れてきますね。」
「あぁ……頼むよ。」
書類と睨めっこをしたまま視線を外さず
ロイはハボックの申し出に応えた。
それなら善は急げと、ハボックは執務室を出ていく。
出ていき間際に
「俺がいない間に、眠り姫にならないでくださいよ?」
と声をかけるのを忘れずに。
でも、
「…………眠……。」
眠たいもんは眠たいのだ。
「お待たせしましたー。」
盆の上にカップと皿を乗せて、
帰ってきたハボックが声をかける。
「へへへ、ちょうど菓子が2つ余ってたので
それも頂いてきちゃいました。」
焼き菓子を手に入れたハボックは、ちょっと得意げに話す。
「――っとあれ?…大佐……??」
いつもは食べ物――
特に甘いお菓子の話になると
飛びついてくるはずのロイが何の反応も示さない。
位置関係上ハボックからは
ロイの後ろ頭しか見えないので、表情は見えないが。
「……もしかして…もしかしなくても……。」
ソファーをぐるりと回って
正面に立って盆を机に置きロイの様子を見た。
「……やっぱり。」
思わずがくりと脱力していまう。
自分が離れていたのはほんの数分のはずなのに
その間にロイは夢の世界へと旅立ってしまったのだ。
無防備な寝姿。
まぁ、ここには自分しかいないからいいのだが…
とハボックは一人ごちる。
「寝ないでくださいって言ったでしょーが。」
ロイの額を指ではじきながらハボックは呟いた。
するとロイは
「よかった……
がんばったな…ノワール…」
うにゃむにゃと寝言を言ったあと
にこぉと満面の笑みで幸せそうに笑ったのだ。
「………!!」
途端に高鳴る心臓。鼓動が耳に響く。
だんだんと自分の顔がロイに近づいていくのを
ハボックは頭の中では客観的に感じていた。
二人の距離がなくなるまであと数センチのところで
「……ジャン……」
とロイが呟いた。
思わずビクリとなり、動きを止めるハボック。
「……クヤードの整備は…どうなってる…んだ…。」
そうぼやいた後、
ロイはずるずるとソファーの背を滑っていった。
「??!!!」
今自分は何をしようとしていたんだ?!
ハボックは思わず口元を押さえ、
バタンと執務室をでてその場に座り込んだ。
マズイ……今自分の顔は絶対真っ赤だ。
寝込みを襲うような真似をして…恥ずかしい。
「……まさか、十代のガキじゃあるまいし。」
ははは、と、ハボックは乾いた笑みを漏らし
気持ちを切り替えようと、顔を洗いに水場へ向かった。
一方執務室の中では
ハボックが出て行ったあと すっと目を開けたロイは
「ふんっ…意気地なしめ。」
まぁ…そこがヤツの可愛いところなんだが
そう言って、くすり、と笑みを漏らすと残った書類を片付け始めたのだった。
まだまだ二人の関係は 始まったばかり。
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にゃんこのしっぽ
This fanfiction is written by Rin.
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