ハボック×ロイ(ハボック宅、ある日の休日)
2007.07.12.Thu.りん
どういう経緯でこうなっているのかわからない。

いや、分かっているのかもしれないが、思い出せないだけか。

あれ?これって分らないと一緒か??


とにかく俺、今混乱してマス。

だってだってだってだって


大佐がうちにいるんだもーーーーーーん!!!!!





やらずの雨





「……えと、粗茶でございますが…。」

「ははは、どうした。畏まって…、お前らしくないな。」


妙にそわそわしてしまって落ち着かない俺は、
それに倣って口調も変だ。

そんな俺の様子を見て、大佐はやんわり笑った。


あ、今の表情…普段じゃ見れないかも。


「…いえ。あーー、それより大佐。
 どうして今日、俺ん家なんかにきたんスか?
 折角久しぶりの休みだってーのに。」


そう、今日は休日なのだ。

それも大佐にとっては久しぶりの。

そんな貴重な日だってのに、
どうして俺ん家なんか来たんだろ。


「なんだ、来てはいけなかったのか?」


あれ?
一瞬大佐が寂しそうな瞳をしたのは気のせい?


「……さては、
 人に見られてはまずいものが隠されているのでは―――」

どれ、私が存分に見てやろう。


と、ニヤリと笑って部屋を物色しようとする。


何だ、やっぱりいつもの大佐だ。


「セオリーとしては、やはりまずはベッドの下からだなー。」


それ、何のセオリーなんすか。

本当にばさばさと物色し始めた大佐に、思わず心の中でツッコむ。


「ちぇっ…なんだ、埃しかないじゃないか…つまらん。
 それよりハボック、ちゃんとベッドの下も掃除しなくてはならんのだぞ?」

「それ、アンタにいわれたくないです。」


今度は思わず口から出てしまった。


「むっ、失礼なっ。
 私の家は、散らかってはいるが、キレイだ。」

「…ぇ、散らかってるのにキレイ……?」


えへん、と胸を張られて言われても…

すんません、俺じゃ分んないス。



次はベッドの上にターゲットを移したようで、
さっきから枕を捲ったり布団をばさばさゆすったりしている。

ちょっ、埃立ちますって。

「……ほんとは…」

そんな大佐が、いきなりぴたりと動きを止めて、俯いて呟いた。



「……本当は、ただ何となく、お前に会いたかったから…」


「え…た、大佐?」


「なんてな、冗談だ。
 せっかくの休日なのに、邪魔してすまなかった。帰るよ。」


自嘲気味に笑った大佐が踵を返して帰ろうとする。


「ちょっと、待って下さいよっ」

慌ててそれを制止しようとするが、
その背中がそれを完全に拒否しているように見えて。

でも、それで怯んでしまっては始まらない。

そのまま出て行ってしまいそうになる腕をつかんで引きとめる。

帰らないで、という気持ちが少しでも伝わるように。


「……はなせ、はぼく…。」

それでも振り払って帰ろうと、俺から離れようとする大佐。

「嫌です。帰らないでください。」

「用事を思い出したんだ、だから帰る。」


お互い一歩も引かない雰囲気。

そんな時。


ポツ…ポツ…ポツポツ……ザー……ッ


先ほどまでは晴れ間も見えていたはずの空が、いきなり泣き出した。


「あ……雨……。」

大佐の今まで振りほどこうともがいてた腕から、力が抜けた。

「…何だ…さっきまで晴れていたのに。」

ぼーっと窓の外を眺める大佐。


「傘など、持ってきていないぞ。」

「じゃ、ここに居ればいいじゃないですか。
 わざわざ濡れて帰る必要なんてありませんって。」

「………。」

「大佐、濡れちまったら“無能”ですし。」

「……余計なお世話だ。」

「それに、俺が一緒にいたいんです。
 本当嬉しかったんですよ?
 さっき、大佐が俺に『会いたい』って思ってくれたってわかって。」

「………。」

「だから…、帰らないで。一緒にいて下さいよ、ねぇ大佐?」


懇願…もしかしたら哀願に近い形かもしれない。

ほんの数秒のはずなのに…この沈黙がとても長く感じる。


すると大佐がぽすっと身を預けてきた。

俺はそれを抱きとめる形となる。

「………仕方ない、今日は一緒にいてやろう。」

口調は仕方ない、といった感じだが、表情はひどく穏やかで。

「はい、ありがとうございます。」

二人一緒にいられることに再び嬉しさがこみ上げ、俺も微笑む。


「今日はゆっくり二人で過ごしましょうね。」

「……ん。」



思いがけずに訪れた幸福。
愛しい人を引き止めてくれたこの雨に、感謝しないとな。



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This fanfiction is written by Rin.
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